佐々木です。
今週は前回公演「死ぬまでにしておきたいこと」のそれぞれの作品について、
解説というか、少し補足みたいなものを付けられればと思っております。
多分出演者も知らないようなこと書いているので、
公演の余韻をお楽しみ頂ければ幸いです。
本日は「フィクション」について。
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この作品でやりたいと思ったことは2つ。
「客席から人が出てくる」と「LOVE LOVE LOVEを流す」。
前者は特にメタな演劇を狙ったわけじゃないんですが、
芝居の空間を舞台上だけにしたくないって思いが僕にはありました。
第一回公演と第二回公演をギャラリーでやっていたせいか、
劇場を見た時に完全に舞台と客席に分かれてるんだなと感じたこともあり、
何とか舞台空間を広げたいと思って浮かんだアイデアです。
後者は「愛を叫ぶ」「愛を呼ぶ」という表現にピンと来なかったのが発端で、
じゃあ「アイを叫ぶ」「アイを呼ぶ」にした方がしっくり来ると思い、
最後主人公が「アイを叫ぶ」ためにどうすればいいかを考えたプロットになりました。
劇作家が主人公なので、
自分に起きたことを書いているのではないかと思われがちですが、
ストーカーにも遭っていませんし、脚本のネタもパクられていません。
完全なる「フィクション」です。
そう、これも書くときに思ったことなのですが、
見ているお客さんは「フィクション」だって分かっていても、
自然と話に入り込んでいって、「フィクション」だと思えなくなってくる。
それがたとえ始まりの5分をまるまる使って「これがフィクションだ」と言ったとしてもです。
気がつけば「自分は役者だ」って言った目の前のその人を、
もう役者だとは見ずに一人の「タニマサル」という登場人物に見ている。
そのファジーな部分に対して、
「それでも目の前にいる人は役者で、僕らのやっていることはお芝居なんです」
と、「フィクション」という概念をばばーんと出した時に、
お客さんの頭の中はどうなってしまうのだろうと思ったわけです。
かなり他の作品と比べ異色な作品だったと思います。
けど、これはやってよかったです。
30分の上演時間中、27分がシリアス、3分がコント。
捉え方によっては一番コントっぽい作品だったかもしれません。
次回は「死ぬまでにしておきたいこと」について触れます。